中谷比佐子の着物ひすとりー4回

撮影現場

モデル、カメラマン、カメラマン助手、ヘアーメイク、着付けスタイリスト、進行。そして編集作業、原稿書き。このころの私は着付けスタイリスト、進行、編集作業、原稿書きを受け持っていた。着物が好きっというより、モデルさんが着物を着ていくうちだんだん美しくなり、カメラの前に立つとなお優しく愛らしくいろっぽくなる。その姿を見続けているのが幸せであった


きものってこんなにも人を幸せにするのだ、こんなに美しく装うことが出来るのだと、喜びを与えてくれる着物に感謝しつつ仕事をしていた。またロケハンで場所を探す面白さもあった。その場所にモデルさんがたった時、人と着物と場所の三位一体が醸し出す独特の高揚感もいい。カメラマンの声も弾む。


カメラマンのポーズの付け方も人それぞれで、とにかく美しくとりたいということは皆さん同じ、その中でより女らしくとか、優しく、愛らしくなどのポーズの付け方があり、モデルさんとの呼吸が一致しないとシャッターが切れないというカメラマンが多く、気が一致したときには、周りの雑音は二人に一切聞こえないようであった。


そういう場面では私たちは息を凝らして、シャッターの音だけを聞いている。ときどき「タニヤん衿」と声が飛ぶと、私は走ってモデルの傍に行き、襟を素早く正す。よく一緒に組んだ写真家の藤井秀樹さんは「たにやん」と私を呼び、他の写真家は「チャ子ちゃん」とか「ヒーちゃん」とも呼んでいた。


ポーズが決まると私はカメラの位置に陣取って、言われる前に着物の修正をするように心がけていた。これがのちに自分が着物を着るようになってとても役立つことになった

着物と帯の組み合わせも、表の時と室内では微妙な違いを見せるし、小物の色も違ってくる。光の作用でコーデいネートをパッと変えるときもあり、素早く着つけるという腕も上がった。

何よりも光と色のバランスを学べてことも財産だと思う

そして何よりお昼の弁当が楽しみだった

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